中華の講座 ![]() 肉を食べる人は長生きをする。この演題が皆様へのご案内です。私は現在、人間総合科学大学の学部長をしておりますが、肉を食べる人は長生きをするというタイトルは、昨年今頃出した本の内容です。PHP研究所から出版され結構売れていまして、今春には台湾と韓国でも翻訳されます。台湾の人口は2千3百万人、中国は13億人ですから、中国でも読まれ、多くの人に「肉を食べる人は長生きをする」という考えが広まれば、うれしいですね。 肉が中心にならないと人間の体は作られないし、上手く働かない。人間にとって一番大切なのはたんぱく質です。人間の免疫を作り、色んな働きを作っていますが、それは約13万種類あります。それが20種類のアミノ酸で、アミノ酸っていうのはたんぱく質を分解して一番消化吸収される形になったものです。20種類のうち9種類は自分の体で作ることが出来ません。ですから牛や馬が作ってくれるものをいただくしかないです。従ってそういう物は、外から食物として摂らなければならないという意味で、必須アミノ酸と言います。皆さん聞いたことありますね。 人類は100歳まで生きる遺伝子を持っています。人類の歴史を少し紐解いてみると、大体3万年か4万年前、農耕が始まる3万年前から人類の遺伝子は殆ど変わってないとされています。そしたら100歳くらいまで生きる遺伝子を持っている訳です。平均寿命が50歳超えた民族が登場したのが、わずか100年前です。それはニュージーランド、オーストラリア、スウエーデン、フランス、イギリス、オランダ、アメリカ、まあドイツも1910年頃です。その前に平均寿命50歳に到達した国は無いですが、遺伝子はあるんですよ。3万年も、4万年も前から100歳の遺伝子を持っていても、栄養が悪くて遺伝子の寿命に達しなかったということです。これらの国々は肉を食べている順番からです。日本はどうだったかって言うと、今から100年ばかり前、欧米の進んでいる所が平均寿命50歳を超えている頃、日本の平均は37歳。脳血管疾患、肺炎で死んでいる人が圧倒的です。平均寿命が50歳を超えたのは戦後です。日本は長寿国なんて言ってますけども、欧米諸国より半世紀遅れています。それが肉をだんだん食べるようになってくる現象なんですね。 肉を食べるとコレステロール上がるのじゃないか、と皆さんよく言われますね。肉にはコレステロールは多くありませんよ。コレステロールが多いのは卵とか女性の好きな海老とかです。肉を食べたからコレステロール上がることではない。コレステロールが低いと早死になったり、自殺したりしますよ。だから肉をちゃんと摂る事、あるいは乳製品をちゃんと摂る事は大切で、コレステロールが栄養状態が悪くなるほど下がらない働きはする訳です。コレステロールの7割は自分の体で作っていますから、コレステロールを摂ればコレステロールは増える。それ以上に今日皆さんに覚えていただきたいのは、実はコレステロールは悪者扱いで30年、40年来ましたが、今から30年くらい前から、コレステロールが低いことが拙いっていう事が分かってきたんです。 僕は色んな肉を食べた方が良いと言ってます。牛肉には牛肉の個性があるし、鉄分なんかは牛の赤い部分にあるし、赤くない部位には抗酸化物質が入っているとか、豚にはビタミンB1とか、色々個性があります。欧米の場合には日本人の2倍から3倍ですね。それから乳製品で、平均日本の4倍摂っています。だから「日本の場合は増やしましょ」と言っています。魚はどれくらいかと言うと、フランスが多くて1日30グラム、日本人の大体2.5分の1。アメリカは日本人の4分の1から5分の1。だから欧米人には魚を増やして肉を減らし、乳製品を減すように、それと大豆も食べましょうって言うんです。アメリカは大豆食べないですね。日本人には肉と魚1対1、牛乳200cc、卵1個、それと350cの野菜をちゃんと食べましょうと主張してきました。食の多様性、食品の数を増やしましょうと私は言っているんです。 (講演の内容は、主催者が抄録してまとめました/服部栄養専門学校にて) |
講師プロフィール
◆柴田 博◆ ![]() 人間総合科学大学保健医療学部長・大学院教授 医学博士。●現在は老年学、老年医学を専門にして、この分野での第一人者。高齢化社会の日本にあって、高齢者問題に「食」の視点から的確なアドバイスを続けている●『中高年の栄養常識を疑う』(講談社)、『中高年こそ肉を摂れ』(講談社)、『肉を食べる人は長生きする』(PHP出版)、『肉食のすすめ』(リュウブックス)など著書多数
【お肉のコラム】
◆食肉の見分け方、選び方◆ 新鮮、風味、食感を目で見て選ぶコツを知る。 色を見る/牛肉 精肉にカット後は沈んだ赤色から、鮮やかな紅色に発色し、肥育の良いものは艶のある鮮紅色になる。時間の経過で一般的には、発色作用は次第に弱まり、変化して暗赤色になるが、すべて変質または腐敗している判断は誤り。風味の点では劣化を考えられる。 和牛の表示/黒毛和種。褐毛和種。日本短角種。無角和種。この4品種とそれぞれの品種を交配したものを和牛と表示できる。 色を見る/豚肉 良質はやや灰色がかった乳白色で、粘りのある硬めのもので、良質の脂肪のある「餅豚」と呼ばれる。一方柔らかい脂肪のものは「水豚」ともいわれ、平均して肉質はきめ粗い。 食肉に関するデータ:公益社団法人 日本食肉協議会発行『食肉の知識』引用
◆老化防止のための10品目◆
食品摂取の多様性が高いほど長生きできる。そのために必要な食品は主食、淡色野菜を除く以下10品目である。 肉類、魚介類、卵類、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜類、海草類、いも類、果物、油脂類 ![]() |
中華の講座 ![]()
「醤肉」醤油肉 ![]() ![]() ![]() いいお肉も安いお肉も、色んなお肉を使うのが中国料理です。今日は牛肉がテーマです。 ばら肉を買って、このように棒状にする。安くて美味しいこのお肉でジャンル―を作ります。2つ目の醤油肉です。チャイナベーコンだと思ってください。簡単なのだけど、(色々料理に使え)すごく重要で、便利です。お肉とお醤油、赤山椒、粒山椒これだけ。お肉は醤油を1回沸騰させて醤油漬けし、1回水洗いし、その中に1日浸けておく。出来るでしょ、家庭でもね。その後ハンガーで吊るすような所に干して置く。生の肉が醤油に1昼夜漬かることで醤油のエキスがばら肉に染み渡るんです。外だと埃が付いているじゃないですか、お湯洗いしてそれを蒸します。醤油漬けベーコン、もの凄く美味しいですよ。 ご飯の味とお醤油肉の相性が、こんなに良いんだってことが分ります。蒸しておいたご飯をボールに移し、そこに「レシピ AとB」で作ったソースをかけると、要は雑ぜご飯みたいなものです。貝柱と山椒と干し海老の旨味、ザーサイのちょつとした塩分が入り、この「たね」を作っておにぎりにしたところで、お醤油肉を上にのせて蒸します。それでこうやってラッピングしておくと、お客様がいらした時に、電子レンジや蒸籠に入れるだけでいい、というように作って置ける。皆さん先ず、お醤油肉から食べてみて下さい。齧った時のお醤油肉の旨さってものが、口の中にパーと唾液が出る訳ですよ。そこをお米と一緒に食べる訳です。 何でお肉がおいしくなるのかっていうのは、お醤油を浸けて物を干す、干すことによって乾燥し風味が良くなる。風にあたって風味が良くなっていき、それを今度蒸すことによって、肉の旨味成分がふわっと出てくる。お肉が美味しくなる秘訣でした。 (講演の内容は、主催者が抄録してまとめました/服部栄養専門学校にて) |
講師プロフィール
◆脇屋 友詞◆ ![]() Wakiya一笑美茶樓 オーナーシェフ●中華料理で名高い赤坂山王飯店、東京ヒルトンホテル、キャピトル東急ホテルなどを経て、27歳でホテルの料理長になる。パシフィックホテル横浜(現横浜ベイホテル東急)では中国料理総料理長として皇太子夫妻のご夕食調理総責任者となる。13年前独立してオーナーシェフになる。平成22年に厚生労働省から「現代の名工」を受賞。同24年農林水産省による料理人顕彰制度「料理マイスター」を受賞。海外のチャリティーイベントに参加し、食を通じて社会貢献活動にも積極的●『新しい中華のおかず』(主婦と生活者)、「中国料理秘伝帳」(柴田書店)など著書多数。
【お肉のコラム】
■牛肉部位の特性と料理用途 部位と呼び、小売販売ではどの部分に相当する肉かを表示しています。特質を理解して、どんな料理にむくのか調理目的によって正しい使い分けが肝心です。 ![]() 首の部分。肉色は濃い目できめが粗く、肉質は硬い。ほとんどが赤身のためひき肉に最適。煮込むとスープストックの良い素材。 ・かた 腕部分の総称。肉色はやや濃く、筋膜や腱が多いため肉質は硬い。エキスやゼラチン質が多く、煮込み料理やスープの材料に最適。筋膜や腱を取り除き薄切りにすれば幅広く利用できる。 ・かたロース 最もきめが細かく軟らかい肉質の優れた最高部位。薄切りにしたものは幅広い牛肉料理向き。厚切りにして焼くとコクのある風味が楽しめる。 ・リブロース 通常、ロースと呼ばれる部位。肥育した牛のロースの断面は見事な霜降り状態となる。若齢のものでも、きめの細かい優れた肉質を持つ。「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」「ローストビーフ」「ステーキ」に最適。 ・サーロイン 代表的なステーキ部位。ロイン三点(リブロイン、サーロイン、テンダーロイン)の中でもサーの称号を冠する最高の肉質を持つ。骨付きのままのステーキカットには次の二つがある。ティーボーンステーキ(骨付きのまま内側についているヒレを同時にカットしてある。断面の骨の形がT字型をしている。風味の良いサーロインと柔らかいヒレを同時に味わえる最高のステーキカット)。エルボーンステーキ(サーロインについた骨がL字型に残るようにカット。骨に沿った肉のうまみと、骨についている骨膜、筋膜が牛肉の味を一層引き立てる)。 ・ヒレ 牛肉の中では最も運動をしない部位のため一番柔らかい。ヒレ本体には脂肪がなく、周辺の脂肪も精肉にする際除去される。きめが細かいので調理する際は煮過ぎ、焼過ぎに注意が必要。過度の加熱は表面を硬くし、風味を損なう。 ・かたばら 肩の部分にあるばら肉。厚みがあり、かたロースに接する一部は濃厚な風味があり、特に「ショートリブ」と呼ばれる部分はリブロースと並び高く評価されている。焼肉のカルビの高級なものはこの部位を使用している。骨付きで煮込むと最高のスープが取れる。 ・ともばら 通常「ばら」と呼ばれる。繊維質、筋膜が多くきめの粗い部分ではあるが濃厚な風味を持つ。大衆的な牛丼や焼肉はおおむねこの肉を使用。肋骨をばらに付けて骨付きで煮込むと濃厚なスープがとれる。 ・うちもも 赤身を好む人には最適の部位。ほとんどの牛肉料理に適し、ブロック(もも)にして「ローストビーフ」など整った形状での利用が可能。米国では赤身中心の健康志向からラウンドステーキとして人気のある。 ・しんたま うちももとほぼ同様の肉質を持つ赤身中心部位。別名を「しん芯」(もも)といい、ラウンドステーキ、焼肉に適する。 ・そともも もも系の中では運動量の多い部位で、全体的にきめが粗く、肉質はやや硬いが薄切りや煮込みに用いれば問題はない。「はばき」「しきんぼう」「なかにく」の三つに分けられ、「はばき」はすねに近い特質を持ち、「しきんぼう」は最もきめの粗い部位であるが形状が整っており、使用目的によっては利用範囲が広がる。「なかにく」はきめがそれほど粗くないので一般的な牛肉料理に利用できる。欧米ではこの部位をコンビーフに加工している。 ・らんいち 「らんぷ」と「いちぼ」と呼ばれる大きな筋肉の塊から構成される部位。らんいちはロイン三点の高級部位に次ぐ純高級で評価が高い。背脂肪を除去すれば柔らかい赤身肉となる。「ランプステーキ」で知られるように、焼く料理に最適。 ・すね(まえずね・ともずね) 前肢を「まえずね」、後肢を「ともずね」と呼び、特質は同一だが、スープストックには「ともずね」が良いとされる。きめは粗く、肉質は硬い。筋膜、腱が多いがエキス分、ゼラチン質に富む。ほとんど赤身のためひき肉用に、また骨付きのものは煮込み用肉として評価高い。 食肉に関するデータ:公益社団法人 日本食肉協議会発行『食肉の知識』引用 ![]() |