2018年9月4日  「美味しく長持ち、今どきの防災食      


                            ㈱グリーンケミー 沢本哲さん
日本列島は今年、本当に災害が多かったですね。先日も大型の台風が日本列島を縦断し、震度7の地震が北海道を襲いました。
災害というと、私などは、まず食料をどうするかということに関心が向きます。9月4日の「寺子屋塾」では災害用の非常食のお話しでした。
講師である沢本さんの会社、グリーンケミーではいろいろな種類の災害食を作っています。昔の非常食の代表と言えば乾パンですが、今はもう乾パンは非常用にも使われていないそうです。理由は、美味しくないし固いからだそうです。固いと高齢者は食べにくいし、非常用でも味が大事なのだそうです。

それでは目下の主流は何かと言いますと、そのまま食べることが出来るレトルトのご飯や、パン、クッキー、あるいは牛丼の素、サンマピリ辛煮などのやはりレトルトのおかずです。
私も少し頂いてみましたが、ご飯はやや柔らかすぎるかな、と感じましたがパンは上々、おかずシリーズは味が濃すぎず薄すぎずで美味しく頂けました。災害用ですから、保存できる期間が5年から7年と大変長く品質が落ちないのだそうです。


レトルト食品とは、プラスチックフィルムなどの機密性を重視した容器に詰めて、加圧加熱、殺菌したものです。
アメリカでは、陸軍の研究部門が缶詰に代わる携帯用の食糧として開発しました。
しかし容器に使った接着剤が、食品医薬品局の許可が下りなかったので、一般保存食としては発売されませんでした。
日本では、この点をクリアして一般向けにレトルト食品が発売されています。ある食品メーカーが1968年に発売したカレーが人気を集めてレトルト食品ブームに拍車をかけたといわれています。
グリーンケミーでは一般向けもありますが、需要はやはり防衛省が多いとのこと。
そして、美味しくて長持ちする日本の災害食は、世界のトップクラスの水準にあると言えそうです。

けれども、大きな災害が起こった時の供給体制にはまだまだ課題はあります。台風や地震の時に、スーパーとかコンビニの棚から食料がなくなって、消費者が列を作っている風景をしばしば見かけます。
沢本さんの会社では柔らかご飯を年間120万食、クッキーを150万食などを生産しています。しかし、内閣府の推定では南海トラフ大地震が起きた時には、災害発生後、3日間で最大3200万食の食料が不足すると言われています。災害食の内容も大事ですし、備蓄や供給の体制をきちんご整備しておくことが必要だと思います。
                                                   寺小屋塾長 中村靖彦