2018年2018年8月3日    「トンガの食生活診断 ~日本人への教訓」      

                      東京農業大学教授 杉原たまえさん 

世界保健機構(WHO)が調べた肥満上位国にずらりと顔を並べるのは大洋州の国々。 クック諸島、パラオ、ナウル、サモア、トンガ・・・。
上位10ヵ国のうちカタールを除いてすべて大洋州が占めるという。なぜ、こうした国・地域で肥満が目立つのか。 南太平洋に浮かぶトンガ王国を例に、経済的状況なども交えて解説してくれた。 背景にあるのはイモ類と魚を中心にした伝統的な食生活から、パンやコンビーフ、羊の脂肉など輸入食材を使った食事への転換だという。 
食パン1斤の中をくりぬきバターを丸のまま入れて食べる・・・・。 それを支えているのはニュージーランドからの輸入品だ。 日本向け輸出を狙ったカボチャバブルの崩壊で負債を抱えているにもかかわらず、在来の食資源を捨て輸入食材に頼る。 
杉原教授たちはこうした状況を改善しようと、国際協力機構(JICA)のプロジェクトで在来のブレッドフルーツの再活用に取り組でいる。 
同じような状況が実は日本でも起きているという。 スパム(カロリーの高い肉の加工品)など米軍の食材の影響で、急激に長寿県の座を滑り落ちている沖縄だ。 どうすればいいか。 一度知った「蜜」の味は忘れられない。
私たち1人ひとりが考えていかなくてはいけない問題だろう。
岩田三代(会員)